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白井美穂 / Mio Shirai |
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写真を使用したインスタレーションや、木材、金属、日用品、布などを組み合わせた作品など様々な媒体で日常と非日常、ジェンダーなどをテーマにコンセプチュアルな制作を行い注目を浴びる。1993年アジア交流基金日米芸術家交換プログラムでニューヨークに滞在。その後も2006年までニューヨークを拠点に世界各地で作品を発表する。帰国後より映像制作を始め、映像作品「芸術についての三部作」では、デュシャンのスピーチの一部を作家が朗読し横浜の若手アーティストの映像を詩的に綴った1作目 "The Creative Act"から、ユーモラスに宮沢賢治の作品を描いた”西洋料理店 山猫軒”、ダ・ヴィンチの受胎告知の場面へとコミカルに収斂する"L'Amour"まで創造と芸術についての断面を鮮やかに切り取っている。
これまで参加した主な展覧会は、第 7回インドトリエンナーレ、「ザ・サイレント・パッション」(栃木県立美 術館)、「Bolande, Dopitova, Rist, Shirai」(プラハ市立美術館)、「Kunst Heimat Kunst」(クンストラーハウス、グラーツ)、越後妻有アートトリエ ンナーレなど。本作品は国立新美術館「アーティスト・ファイル 2008」に出展された。
東京芸術大学大学院美術研究科修了。現在、横浜にスタジオを持つ。
*1. The Creative Act
創造行為(The Creative Act)はマルセル・デュシャンが1957年にアメリカ・ヒューストンで行ったスピーチで、白井自身がこれを英語で読み上げる一方、画面ではさまざまなアーティストたちの活動が映し出される。横浜、黄金町、都橋商店街といった日本の戦後史を体現しているかのようなヴァナキュラーな景観に、デュシャンのステートメントがアイロニカルに響く。今日の日本の礎を築いてきたリアリティに対して、芸術は、これら若い日本のアーティストたちは、いかなる意味と力を持ちうるのだろうか。
2.西洋料理店 山猫軒
宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」を映像化したもので、越後妻有アートトリエンナーレの会場に設置されている白井自身の同じタイトルのパーマネント・インスタレーションを舞台として撮影されている。山中の不思議な料理店を訪れた紳士たちの前に、次から次と現れる奇妙な「注文」が描かれた扉を、抜き出して再現したもので、扉の上に記された指示に従った紳士たちは、物語のクライマックスに至って、自分たちが実は食べられようとしているという真相を悟る。
3. L’Amour
山中で麻雀をしているやくざの背中に、いつの間にか天使の羽根が生えている。あわてて上着を脱ぎ捨てようとする二人。善と悪、白と黒、聖と俗、全ての対立要素は最終的にレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」の画面、すなわち「芸術」へと収斂していく。あたかもそれは「The Creative Act」で提示されたデュシャンの予言が成就されたかのようである。
*1〜3南雄介(国立新美術館主任研究員)「Artist File 2008」カタログより抜粋
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© Mio Shirai
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